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薬のインフォームドコンセント 2 抗癌剤
~ 新タイプも多くの仮説 ~
「分子標的治療薬」とは新しいタイプの抗癌剤です。肺癌治療薬イレッサは2002年、世界に先駆けて日本で承認された分子標的治療薬でしたが、副作用死が相次いで、国や輸入販売元に損害賠償を求める訴訟が起きています。分子標的治療薬とは癌細胞の特徴を見つけ出し、その特徴を標的にしてつくられたものです。癌細胞だけを標的にしている印象を与えますが、正常細胞にも影響が出るのは言うまでもありません。
イレッサは販売前から評判が先行したため、その特徴を選ばないで多くの患者に投与されました。「劇的に効いた」という報告ともに副作用死の数が多く伝えられました。厚生労働省の検討会はことし3月、日本肺癌学会の使用指針を周知することを条件に使用継続を認める意見をまとめています。患者は投与を受ける場合、利益が危険性を十分に上回るかどうか医者に聞いてみなければなりません。
乳癌治療薬ハーセプチンも2001年6月に承認を受けた分子標的治療薬です。癌細胞のHER2蛋白が多くあれば、効能が高いとされています。このため、感受性テストを行い、HER2蛋白の陽性反応を見ます。
本院の65歳の女性の事例です。15年前に乳癌切除を行いました。最近になって、癌性胸膜炎を発症、さらに、肝臓への転移が発見されました。乳癌細胞をテストしたところ、中陽性反応が現れたため、ハーセプチンを使ったところ、肝臓癌はみるみる小さくなっています。ハーセプチンが効いたのです。乳癌の場合、10年以上たってから再発することがあります。組織標本を保存してもらえるよう病院に依頼すべきでしょう。
これまで、乳癌には腫瘍細胞内のDNA、RNAなどの合成を阻害するアドリアシン、ファルモルビシンなどの抗腫瘍性抗生物質製剤を使っていました。効果は4割程度とすると、ハーセプチンは7割以上の成果を挙げています。ただし、感受性テストで強陽性が出たとしても、すべてに効果があるわけではありません。
ハーセプチンの副作用死は心不全です。癌が治ったとしても、副作用によって死に至ることがあってはなりません。使用に当たり心電図、心臓超音波などの心臓評価が重要です。分子標的治療薬といっても多くの仮説があり、患者自身が理解しなければなりません。
この記事は2005年9月4日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
