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薬のインフォームドコンセント 7 効かない薬
~ 知識持った上で相談 ~
1998年、脳卒中後の後遺症改善を目的とした脳代謝改善剤(抗痴呆薬)の4成分9種類が「医療上の有効性は確認できない」として使われなくなりました。つまり、いままで効くと信じて使われていた薬が効かないと再評価されたのです。医者側から言えば、一部には効いていた患者も見られたといいますが、これはすべてプラシボー(偽薬)効果だったのです。
医者は「偽薬」(実際は小麦粉など)を患者に与える場合があります。それで、風邪などが治ったという事例は数多くあり、これをプラシボー効果と呼びます。抗痴呆薬の場合、プラシボー効果はあったのかもしれませんが、実際には全く効いていなかったのです。抗痴呆薬は十数年間にわたり、1兆円以上の医療費が使われました。
現在、薬効が認められている抗痴呆薬はアルツハイマー病の塩酸ドネペジルのみです。アルツハイマー病になると、脳内のアセチルコリンという物質が不足し、神経間の伝達が悪くなります。塩酸ドネペジルはアセチルコリンを分解する酵素の働きを阻害し、抗痴呆症状を改善するとされています。ただ、塩酸ドネペジルであっても、アルツハイマー病中程度までの患者30%に有効とされ、それも、進行のスピードを遅らせるにすぎないのです。しかし、他に有効な薬がない以上、3分の1の患者に効果があるということで必ず使われているのです。
レーガン元大統領が自ら、アルツハイマー病であることを告白しました。これが重大な事実で衝撃的に受け止められたのは、アルツハイマー病は確定診断を含めて、分かっていないことが多すぎるからなのです。
痴呆症に有効な薬がないのが現状です。逆に、副作用としてパーキンソン病に似た症状を起こさせる脳循環改善剤があったことも確かです。
現在、エビデンスがあるのは、脳梗塞予防薬アスピリンと塩酸チクロビジンです。アスピリンによる脳梗塞予防が脳血管性痴呆を予防できるという確実なエビデンスはありません。しかし、医者自身が論理的、経験的にアスピリン服用が適切と考えています。
薬の効果に疑問があるのならば、患者、家族が薬の知識を持った上で、専門医とよく相談すべきです。
この記事は2005年10月9日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
