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薬のインフォームドコンセント 8 サリドマイド
~ 多発性骨髄腫に効能 ~
サリドマイドは40年ほど前、世界中で薬害を起して「悪魔の薬」と呼ばれました。服用した妊婦から産まれたアザラシ肢症とうい奇型の胎児は、西ドイツで6,000例、日本でも300例、世界中で1万例以上に達しました。製造中止となりサリドマイドは世界中から消えたはずでした。
ところが、現在、本院を始め、多くの大学病院などで難治性の多発性骨髄腫の末期患者に使用しています。サリドマイドに癌性悪質液を引き起こす「腫瘍壊死因子(TNF)α」の生産を抑える作用が明らかになり、腫瘍が成長するために必要な新しい血管の形成「血管新生」を抑制する働きがあることも分かったからです。
睡眠薬として発売された当時、致死的な毒性がない安全な薬として多くの人々に使用されました。妊婦も多く含まれ、血管新生抑制作用が胎児に働き、手足が成長しないアザラシ肢症を生み出したのです。皮肉なことに、その血管新生抑制作用が注目されたのです。
その後、米国などでは多発性骨腫瘍の標準的な治療法になっています。日本では海外から医者が個人輸入して主に多発性骨髄腫の患者に使用しています。現在、国内でも製造販売するために治験が始まっています。当然、妊婦は対象外であり、男性患者についてもサリドマイドが精液中に含まれる可能性があるため、避妊しなければなりません。
サリドマイドだけでなく、難治性の白血病に毒薬の亜ヒ酸が有効であることも知られています。
サリドマイド、亜ヒ酸は使い方によって、良薬にも偽薬にもなり得ます。これほど顕著ではなくても、薬は正確のはっきりした二面性をもっていることを忘れてはなりません。
この記事は2005年10月16日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
