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手術のインフォームドコンセント 3 合併症(1)
~ 大きなダメージ不可避 ~
どんなに簡単な小手術と言えども、全く安全な手術は一つもありません。特に高齢者では、何が起きても不思議ではありません。
例えば、胃癌、大腸癌、急性虫垂炎などの病変に薬物療法や負担の少ない内視鏡で治療できない場合、麻酔を掛けた上で開腹手術を行います。体をメスやはさみで大きく切り裂き、電気メスで焼き、針と糸で縫合していきます。こうした手術は体に大きなダメージを与えます。手術に合併症、偶発症などが起きるのは避けられません。手術の合併症で術後1、2ヵ月後に亡くなることもありえます。
手術では、麻酔科医が血圧、脈拍、尿量などを観察し、呼吸をコントロールします。全身状態を見ながら、輸液、輸血、薬剤の投与を行って、患者の生命を守る仕事を引き受けています。
合併症はさまざまです。手術終了前には止血を確認してお腹を閉じますが、動脈硬化などの病変が併存して、組織が脆弱な場合、いったん止血された血管が破れ、出血することがあります。これが術後出血です。
少量の出血であれが問題ないのですが、大量出血であれば貧血が進行して、心臓などへの負担があります。この場合、再度開腹して止血しなければなりません。
全身麻酔の影響で痰の分泌が増加して、傷の痛みから痰を排出できなければ、気道が閉塞して、肺炎を起すことがあります。気管切開が必要になることもあります。
さらに、開腹手術を行うと、お腹の中で必ず癒着が起きます。腸閉塞(イレウス)です。血行が妨げられるように腸がねじれてくっつくと腸管が壊死してしまうため、緊急手術が必要になります。高齢者、他の疾患を持っている患者の術後合併症の危険性は高まります。この他、臓器障害、腸管麻痺、肺塞栓などの合併症が起きることもあります。
手術は本質的に不確実で危険を伴います。手術の結果が悪いとき、想定していた病像の当否、治療方法の選択、実施された手術の詳細、術後管理に問題がなかったのかカンファレンス(診療につて検討するための会議)を行います。
患者にとって、安全な手術は一つもないことを前提に医者にさまざまな質問をすべきです。薬に副作用があるように、手術には合併症がつきものだと認識すべきです。
この記事は2005年12月18日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
