- トップページ >
- コラム・広報誌 >
- やさしい患者学研究会 >
- 高齢者
手術のインフォームドコンセント 5 高齢者
~ 合併症の危険性高く ~
日本人の平均寿命が男性79歳、女性84歳を超えました。医療現場では、おおむね70歳以上を高齢者と考えています。ただ、それぞれの個人差が大きいことは言うまでもありません。
脳ドックや頭痛の検査などで未破裂動脈瘤が発見されることが多くなっています。国内では約200万人が未破裂動脈瘤があると推定され、そのうち年間約2万人が動脈瘤の破裂でくも膜下出血、脳出血などで死亡、あるいは意識がなくなったり、手足の障害を引き起こしています。現在では、チタン製のクリップを使うクリッピング術で未破裂動脈瘤の破裂を防ぐことができます。
70歳以上で未破裂動脈瘤が発見された場合、どうするか。非常に難しい決断が迫られます。クリッピング術は、高齢者になるほど合併症の危険性も高まります。未破裂動脈瘤が破裂する可能性は非常に低く、寿命を全うするまで破裂することなく、他の病気でなくなる可能性のほうが大きいのです。
脳神経学会のガイドラインではクリッピング術の適用は、70歳までとしています。ただ、人によっては、破裂した場合の影響が大きいだけに不安感を募らせて、ふだんの生活に支障が出ている方もあります。
当然、70歳以上でもクリッピング術を望む方がいます。70歳だからと言って、一律にすべて手術ができないというわけではありません。エビデンス(科学的な証拠)に基づいた手術の適用、合併症などの危険性を説明します。
全身麻酔、心肺機能、脳梗塞、高血圧、呼吸機能など全身状態を調べ、もし、治療に耐えられると分かれば、患者の意向をよく聞いた上でクリッピング術を行います。MRI(磁気共鳴画像装置)から患者の脳の状態がよく分かります。顔のしわと同様に脳の萎縮、梗塞を起している脳などさまざまです。規則正しい生活を送り、脳をよく使ってきた70歳以上は、50歳代の若い脳を持つ方がたくさんいます。
70歳を超えていても、肉体的、精神的に非常に若い方たちがたくさんいます。ただ、どんなに若くても一定年齢を超えれば、生命を維持できなくなります。死から逃れられません。高齢者は逃れられない死を意識しながら、病気と闘うべきです。
この記事は2006年1月8日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
