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手術のインフォームドコンセント 8 高度先進医療
~ 「混合診療」認める制度 ~
2003年9月に起きた慈恵医大青戸病院事件で、医者3人が業務上過失致死罪の処罰を受けました。前立腺癌男性患者に3人の医者が「腹腔鏡下手術」を実施しましたが、出血多量で患者を死亡させてしまったのです。
当時の報道に腹腔鏡下手術を指して「高度先進医療」ということばが何度も登場しています。「高度先進医療を進めるには倫理委員会の承認を受け、さらに経験豊かな医者が立ち会って指導すべきだ」という論調が多く見られました。
高度先進医療が先進的であるのは間違いありませんが、厳密には特定の診療行為が健康保険の適用を受けない場合の医療費支払い制度なのです。現在の医療保険では、保険診療が認められていない手術を行った場合、すべての入院診療費を患者が自費で支払うか、あるいは、手術分を病院が負担するかのいずれかで、保険と自費の混合診療は認められていません。
特定の診療行為を高度先進医療として認可された病院(特定承認保険医療機関)では、その手術について患者が費用負担し、手術以外については健康保険で支払を受けることができる、という混合診療禁止の例外を認める制度なのです。
2005年9月現在で、腹腔鏡下前立腺癌手術を含めて高度先進医療は109種類あります。腹腔鏡下手術は浜松医大病院では高度先進医療として認められていますが、本院では前立腺癌に対しては腹腔鏡下手術を行っていません。当然、開腹手術に比べ、術創が小さく、合併症などの危険性、術後の負担が少ないなど利益とされます。
しかし、腹腔鏡下手術のほうが尿失禁が開腹手術に比べて多く、慈恵医大青戸病院で見られるように大きな合併症が起きる可能性もあるのです。
前立腺癌では、無治療経過観察、根治的前立腺全摘出術(開腹あるいは腹腔鏡)、放射線治療、内分泌療法について説明をし、患者に選択してもらっています。
開腹手術は専門医が行えば、確立したものでそれほど危険ではありません。経験の少ない医者らによる腹腔鏡下ではなく、開腹手術であれば慈恵医大青戸病院の患者は死亡していなかった可能性は高いのです。どんな手術でも患者は選択肢を十分聞いた上で、それぞれがセカンドオピニオンなどで納得した上で判断しなければなりません。
この記事は2006年2月5日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
