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手術のインフォームドコンセント 11 医療過誤 2
~ 「説明不足」は訴訟へ ~
医者が患者に十分な説明を怠り、重大な結果を招いた時、医療過誤に問われなければなりません。インフォームドコンセント(IC=医者の十分な説明と患者の同意)をどのように行ったのかが医療行為の焦点になるのです。
1994年3月、岩手県で40歳の男性が内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)を受けた後、急性膵炎となり、その後死亡してしまいます。男性の死亡に納得できない家族がERCPを行った医者を相手に損害賠償請求の民事訴訟を起こしました。この裁判について、家族側の弁護士が医療過誤裁判とはどういうものかを多くの人に知ってもらう趣旨で「ドキュメント医療過誤事件 弁護士の医療裁判レポート」(千田実、本の森)にまとめています。
医者の過失は(1)検査後、2時間は絶食をはかるという注意を与えなかった(2)検査後、2時間は安静を指示しなかった(3)検査後、抗生剤を投与しなかった(4)検査後、アミラーゼのチェックしなかった―など。検査後、空腹だった男性は帰宅してすし、カップうどん、漬物、魚、かまぼこなどを食べてしまいます。
争点は「食事に関する注意」。医者自信が「落ち度があるとすれば、食事の注意を与えなかったことだ」と家族らに明言しています。裁判官は死亡原因となった重症膵炎は術後、多飲食したことと推定しましたから、裁判は当初から原告に有利に働きました。ところが、最終的に和解がまとまったのは2001年1月ですから、裁判は6年4ヵ月もかかっているのです。
ERCP後膵炎については「検査のIC 4」(2005年5月22日付本欄)でお伝えしました。本院ではあらかじめ抗生剤や膵炎治療薬を投与して膵炎対策を行っていますし、患者に十分説明をします。患者自身も不明な点があれば、積極的に聞くべきです。
岩手県の裁判は家族5人に対して約7,500万円の損害賠償を支払うことで和解、事実上の家族側勝利ですが、裁判は長期にわたり、約700万円の弁護士費用、鑑定費用などの負担がありました。
40歳の働き盛りの男性が亡くなって、その後の就労可能年数から算出する逸失利益、慰謝料などを合わせての額が妥当かどうか。また、どんなに補償されたとしても生命が蘇るわけではありません。ICがどれほど重要か患者自身が認識しなければなりません。
この記事は2006年3月5日現在の状況を元に作成されたものです。
その後さまざまな変化があることはご了承ください。
