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がんの痛みはとれる
エクスパートインタビュー
司会:外科 特任教授 前川 武男
対談者:麻酔科 准教授 岡崎 敦
【司会】がんの痛みは大変つらいものですが、どうして痛みはおこるのでしょうか?
【岡崎】がん細胞は、本来の人間の構造物に秩序なく入り込み、破壊していきます。がんの痛みは、1)神経そのものを侵していく、2)肝臓や、腎臓、脳などの実質臓器の中で大きくなっていくために中の圧力が高くなって起こる、3)骨が溶かされて崩れていく、などいろいろな原因で痛みが起こります。
【司会】がんの痛みはどうやればとれるのでしょうか?
【岡崎】弱い痛みや骨から発生する痛みは、非ステロイド系消炎鎮痛薬がよく効きます。腰の痛みや膝の痛みで使用している痛み止めです。定期的に服用しますが、痛みが強いときに頓服としても使えます。服用中にみぞおちの痛みや吐き気が現れた時は必ず医師に報告してください。より強い痛みやおなかの痛みは、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬を用います。
【司会】「麻薬」と聞くと恐ろしいような気がしますが、大丈夫ですか?
【岡崎】麻薬は、モルヒネをもとにいろいろ合成されてきています。麻薬は適切に使用すると、とても良い鎮痛剤であり、痛みを持つ患者さまが使う限り麻薬中毒になることはありません。法律で取り扱いに制限を設けているのは、痛みがない人に使用すると中毒症状を起こすからです。麻薬の特徴は、使い始めから吐き気や便秘が同時に起こることです。程度の差はありますが、ほぼ全員に起こりますので、吐き気止めや下剤を同時に服用します。最近の麻薬系鎮痛薬は、作用時間が短いという欠点を除放性錠剤や貼布剤という剤型を用いて一日1、2回の服用や3日に1回張り替えるだけで良いなど使いやすくなっています。
【司会】麻薬は誰にでも良い効果がでるのでしょうか?
【岡崎】若干の差はありますが、皆さまに効きます。しかし、神経を巻き込んだ痛みにはあまり効かないことがあります。このような場合でも、鎮痛補助薬と呼ばれるてんかんの薬や不整脈の薬が効きます。
【司会】そのほかの鎮痛方法はありますか?
【岡崎】膵がんや胃がんなど腹部のがんは、神経ブロックがよく効きます。神経ブロック療法は、痛みをつかさどる神経を選択的にアルコールや高周波熱凝固で凝固させて、痛みを伝わらなくする痛みの治療です。これは、薬物療法と違って、お薬を飲んでいる間だけ効くというものではありません。
1、2度の治療で長期にわたって効果が持続します。しかし残念ながら、特殊な治療法なのでどの病院でもやれるわけではありませんし、取れない痛みもあります。当院の麻酔科は神経ブロック療法を多数おこなっています。神経ブロックを受けた患者様のなかには、死の直前まで鎮痛薬を必要としない方もいらっしゃいます。この治療法は、痛みが出始めたときに行うのが一番効果的です。麻酔科外来で診察して、神経ブロック療法についてご説明致しますので、一度おいでください。
