t-PAを用いた脳梗塞の治療
脳梗塞とは
脳梗塞は動脈硬化のために血管が細くなってしまったり、不整脈や心臓の動きが悪いことが原因で心臓にできた血の塊が血流にのって飛んできて脳の血管が詰まってしまうことで脳に血流がいかなくなり、酸素や栄養が十分に送れなくなるために、脳細胞が死んでしまうために起こります。脳が障害を受けると手足が動かない、言葉がしゃぺれないなどのほか、意識がなくなってしまったり時には命にかかわることもあります。
脳梗塞の治療
現在、脳梗塞のため完全に死んでしまった脳細胞を復活させる治療法はありません。そのため強い後遺症を残してしまい人生を大きく狂わされてしまうことが多かったのです。しかし、脳梗塞発作から3時間以内であればt-PAという薬を使って詰まった血管を再開通させる(脳梗塞急性期血栓溶解療法〉ことで症状を軽くすることが可能となりました。
t-PAの治療を受けるには
t-PAは発作から3時間以内の症例にしか使用できません。またt-PA治療はどこの医療機関でも受けられるわけではありません。脳梗塞の発作を起こしたらすぐに、t-PA治療可能な病院を受診することが重要です。病院に到着後もt-PAの使用が可能かどうか調べる検査などで約1時間必要となりますので、実際には発症から2時間以内に病院に到着している必要があります。時間の余裕がないので救急車を利用し適切な病院へ搬送してもらうことが重要です。
どんなときに救急車を呼べばいいのか
(1) 顔の半分が麻痺してゆがんでいる
(2) 手の動きがわるい
(3) ろれつが回らない、うまくしゃべれない
これらの症状のうちひとつでもあれば脳卒中である可能性は約70%といわれています。そのほか、突然歩けなくなった、意識がなくなった、めまい、体半分がしびれる、急に目がみえなくなるなどの症状も脳卒中を疑う症状です。これらの症状があれば、すぐに救急車を呼んでください。
t-PA治療の注意点
固まった血液を溶かす作用が強いため脳出血を併発することがあります。t-PA投与後36時間以内に脳出血を併発し症状が悪くなる例が約5%に認められます。75歳以上の高齢者、重症脳梗塞(意識がないなど)では症状の改善率が悪いうえに出血合併率が高いため、t-PAの投与を断念せざるを得ないこともあります。
脳神経外科 准教授 中尾 保秋
