乳がんに対する診断と治療法について
乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍で、30歳後半から徐々に増え、50歳代にもっとも多く発生します。最新の統計では日本人の生涯で乳がんになる確率は6%(16人に1人が乳がんに罹患する)で増加傾向にあります。
乳がんはどのような症状がみられるのですか
乳がんの代表的な症状として次のような症状がみられます。
- しこり
- 乳房部皮膚の陥凹、引きつれ
- 乳頭部のただれ、異常分泌
- わきのリンパ節のはれ
これらの症状に軽い痛みを伴うことがあります。なかでも、しこりとして認められることが多いのですが、乳がんに認められる症状は良性病変でもみられることがありますので専門医の診察を受けるようにしましょう。
乳房の検査にはどのような検査がありますか
乳房の一般的な検査は乳房レントゲン撮影(マンモグラフィ)、乳房超音波検査が行われます。
マンモグラフィは触診で触れないような小さなしこり、また石灰化病変(乳腺組織内の主にカルシウムの沈着でまれに初期の乳がんでみられます)も抽出することが可能で最もよく行われる検査です。
マンモグラフィの撮影方法は左右乳房を均一に伸ばし、斜めの方向を頭尾方向の2方向をとります。均一に乳房を伸ばすのは乳腺が重なって撮影しますとしこりの影のようにみえることがありますので均一に伸ばして撮影します。市町村などの乳がん検診では50歳以上は1方向のことが多いです。

乳房超音波検査はしこりの大きさ、形もみることが可能で、体に無害で痛みも伴わず病変の診断にはマンモグラフィに次いで行われる検査です。またしこりによっては病変診断のためにしこりの部分の細胞を細い針で吸引して細胞を採取する穿刺吸引細胞診や少し太い針でしこりの細胞を採取する針生検を行うことがあります。
乳がんと診断されたらどのような治療があるのですか
乳がんと診断されたときは手術が予定されます。手術法として乳房を全部切除する乳房切除術と乳頭部を温存し、乳房を部分的に切除する乳頭温存術があります。以前では乳房切除術が一般的でしたが、近年では乳房温存術が主体になってきています。
乳がんはときに脇のリンパ節に転移することがあり、わきのリンパ節の切除を同時に行いますが、わきのリンパ節の切除も最近ではセンチネルリンパ節(がん細胞が最初に流れ込むリンパ節)のみを摘出することが行われ、以前のような手術後にわきの痛み、腕のむくみもほとんどなくなってきています。手術以外に抗がん剤、ホルモン療法、放射線療法を行うことがあります。
抗がん剤治療は必ず受けるのですか
抗がん剤の治療は乳がんの進行度やがん細胞の悪性度によって行われ、ほとんどは手術後に行われますが、手術前に行われることもあります。
抗がん剤、ホルモン療法はどんな副作用があるのですか
抗がん剤の主な副作用としては白血球減少、脱毛、吐き気、むくみ、手足のしびれ感などがみられることがあります。
ホルモン療法の副作用は抗がん剤に比べほとんどありませんが、ホルモン剤によってはほてり感、関節痛、体重増加、骨粗しょう症などがときにみられることがあります。抗がん剤、ホルモン剤の種類で多少副作用がことなりますので、詳しくは主治医の先生に説明を受けるようにして下さい。
放射線治療はどのようなときに行うのですか
放射線治療は乳房温存手術後に温存乳房内に放射線療法を行なうことが標準療法となっています。温存乳房内に再発することはまれですが放射線療法を行うことで乳房内再発をさらに1/3に減少できます。
早期乳がん発見のためにも検診はうけるようにしましょう
しこりの大きさが2cm以下の乳がんは90%以上治ります。しこりがまだ触れない小さな段階で発見できるようにマンモグラフィまたは乳房超音波検査を併用した乳がん検診を受けるようにしましょう。
外科・准教授 多田 隆士
