トピックス
循環器疾患および治療のトピックス
冠動脈カテーテル治療後の再狭窄を抑制する薬物をコーティングしたステント(薬剤溶出性ステント)が、最近使用可能になりこのステントの有用性が注目されています。
当施設でも待機的治療例にこのステントを積極的に使用しており、カテーテル治療後の再狭窄を認める例が著明に減少しています。しかし、現状では慢性期のステント内血栓症の発症率が上昇する報告もあり、当院では慎重に適応を検討し使用しております。
不整脈は、一般に脈の速くなる頻脈と遅くなる徐脈に分類できます。
現在、頻脈性不整脈に対しては薬剤による治療(薬物療法)、徐脈性不整脈に対しては人工ペースメーカー治療(非薬物療法)が確立されていますが、近年、治療技術の発達によりいくつかの新しい治療が開発され、臨床応用されています。
現在良好な成績が報告されている治療法は、薬剤抵抗性の難治性不整脈に対するカテーテルアブレーション、植え込み型除細動器、さらには難治性心不全に対する両心室ペーシング治療があり、当院でもこれらの治療を取り入れ患者様の治療にあたっております。
不整脈、心不全に対する最新の非薬物療法についてそれぞれ簡単に説明いたします。
- カテーテルアブレーション(高周波心筋焼灼術)
足の付け根の血管(大腿静脈や動脈)から電極カテーテルといわれる細い電線を心臓の中に挿入し、不整脈の原因となる部位を探し出し、カテーテルの先端から高周波通電を行うものです。高周波から50~60℃の熱が発生し、心筋の一部を焼灼することで不整脈を根治することが出来ます。不整脈の種類によって成功率は異なりますが、発作性上室性頻拍症、心房粗動、特発性心室頻拍などの治癒率は、9割以上の良好な結果が得られています。 - 植え込み型除細動器(Implantable Cardioverter-Defibrillation:ICD)
心臓突然死の大半は致死的不整脈(心室細動等)によるものであり、抗不整脈剤による突然死予防には限界があります。心室細動を止めるには電気ショックによる除細動が有効な治療法ですが、体外式電気的除細動装置(電気ショック)が必ずしも傍らにあるとは限りません。そこで、致死的不整脈による突然死のリスクが高いと推測される患者様には、前胸壁の皮下にICDの植え込みを行っています。ICDは致死性不整脈を予防するものではありませんが、自動的に不整脈を監視しすばやく不整脈に対応することで突然死を防ぐことが出来るようになりました。 - 両心室ペーシング(Biventricular pacing)/心臓再同期療法(CRT)
薬剤抵抗性の難治性心不全の新たな治療法として、現在注目を集めている治療法です。通常のペースメーカーは右心室からの刺激により心臓が興奮し、収縮しています。この両心室ペーシングでは左心室側にもリード線を挿入し、右心室、左心室を同時にペーシングし心臓を収縮させることで心拍出量を増加させることが出来ます。近年、この両心室ペーシングにより重症心不全症例の生命予後が改善することが報告されています。さらに、平成18年より本邦でも、両心室ペーシングに致死的不整脈を治療するICDの機能がついたCRT-D(心臓再同期療法+除細動器)が使用できるようになり、今後さらに適応は広がり普及していくことが予想されます。
閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化により下肢の動脈が細くなり、歩行時に下肢筋肉の血流が障害され症状が出現する疾患です。特徴的な症状は、数百メートル歩くと足が痛くなり、歩行を止め休息すると症状が軽快します。病状が進行すると足先が冷たくなり、足の色調が白~黒紅色になり、そのまま放置し進行すると虚血部位が壊死に陥り、切断にいたる危険性がある病気です。
閉塞性動脈硬化症は、糖尿病や血液透析の患者様に多いのが特徴です。治療は、点滴や内服薬による保存的治療に加えて、カテーテルによる血行再建術や、人工血管をつなぐバイパス手術などがあります。
当施設では、症状・血管の状態・体力に応じて、保存的治療からカテーテル治療やバイパス手術にいたるまで様々な治療の選択が可能となっております。下肢の虚血症状が疑われる方は、当科へ御気軽に御相談ください。
深部静脈血栓症は、静脈という血管の中で血液の塊(血栓)が生じる病気です。静脈還流により運ばれた血栓は、肺動脈を詰まらせ肺動脈血栓塞栓症を引き起こします。
最近では、長時間の飛行機搭乗によるエコノミークラス症候群として注目を集めています。長期臥床、出産、手術後、凝固異常症等でも発症することがあります。
循環器外来では、Dダイマー、CT、下肢静脈造影等の検査、線溶・抗凝固療法による治療や弾性ストッキング装着等の治療・予防も行なっています。
心臓超音波検査は、超音波を使用して心臓を画像化することにより、心臓の大きさや収縮能、心臓の弁や血管の性状を評価する検査法です。連続波やパルスドップラーを用いて血流速度を測定することにより、弁口面積の測定、肺高血圧の有無や心臓の拡張性を評価することが可能なため、心臓弁膜症や先天性心疾患の診断だけでなく、心筋疾患や心不全の重症度評価に大変有用な検査です。
心臓超音波検査は、非侵襲的ですので外来で施行可能な検査です。
心臓核医学検査は、放射線同位元素(微量の放射線を出す物質)を投与することにより、心臓の筋肉(心筋)の状態を評価する検査です。使用する核種により、狭心症や心筋梗塞、心不全や心筋症の程度が診断出来る検査です。負担の少ない検査ですので、検査目的に入院する必要はありません。
