脳神経外科 最新医療紹介
鍵穴手術(Keyhole)による脳動脈瘤の新しい治療法の紹介
くも膜下出血は脳卒中の1つであり、死亡率の高い疾患です。くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂によって起きるものであり、突然の頭痛と嘔気で発症し、突然死を来たす場合もある恐ろしい疾患です。
最近では、くも膜下出血を来たす前に脳動脈瘤がMRIやCTなどの画像診断技術の発達によって発見される場合が多くなっており、この未破裂脳動脈瘤に対する治療方針や治療法が問題になっています。治療するか経過観察にするかは、専門医の画像診断による総合的判断と本人および家族の希望による決まります。
未破裂脳動脈瘤の治療には大きく分けて、開頭術によって脳動脈瘤に直接に金属製のクリップをかけて閉塞する手術(開頭クリッピング術)とカテーテルによって脳動脈瘤内にコイルを入れて閉塞する血管内手術があります。
両者の治療法には一長一短がありますが、開頭クリッピング術の長所はクリップが動脈瘤にかかると確実に破裂を防止できる可能性が高いことです。
しかしながら、従来の通常の開頭クリッピング術では、剃髪が必要であり、頭蓋骨に大きな開頭術が必要なことより手術後の入院期間が長いことや開頭手術自体による美容上の問題があります。
そこで静岡病院脳神経外科では、この従来の開頭クリッピング術の欠点を補うために、Keyhole(鍵穴)手術による新しい脳動脈瘤手術を開発しました。この方法では、剃髪の必要がなく、前額部に4センチ程度の切開と、3センチ程度のきわめて小さい開頭術(Keyhole)を行い、手術用顕微鏡を使って脳動脈瘤にクリッピングを行なうものです。このため、患者さまの負担は少なくなり、術後2または3日目で退院することが可能となったのです。
現在までに、140個の未破裂脳動脈瘤にこの鍵穴手術によるクリッピング術を132例施行して、1例のみ一過性の軽度の麻痺を認めたのみで全例元気で問題なく社会復帰しております。この手術には、手術前に患者さまごとに鍵穴を作成する場所とその大きさについて3次元立体CT画像を用いて決めるというテーラーメイド医療で行われています。
平成23年2月までの鍵穴手術によるクリッピング術の治療成績
対象: 200名 210個の未破裂脳動脈瘤
(中大脳動脈瘤121、内頚動脈瘤40、前交通動脈瘤49)
手術成績
99%の患者さまは元気に社会復帰
1例で片麻痺を生じた(0.5%)、1例で軽度痴呆を生じた(0.5%)
その他の合併症 慢性硬膜下血腫9例、髄膜炎1例
従来の開頭術(赤)と鍵穴手術(青)の大きさの比較

鍵穴手術方法( Pterional keyhole )

実際の手術例
術前の3次元CTによる脳動脈瘤と鍵穴のイメージ像
患者さんごとの、テーラーメイド医療
実際の手術
術後の3次元CTと創部の状態
